今日の一杯

今日の一杯。。。
【赤】Ch.Palmer 1996
【赤】Ch.Palmer 1996
Type:赤 フルボディ
産地:France(ボルドー/Margaux)
生産者:Ch.Palmer
格付:Margaux第三級格付け
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン55%, メルロ40%, プティ・ヴェルド5%

内向的だが、燻製した天草のようなニュアンスをもち、タンニンもよくまとまっている。

現在、第一級に格上げされるべきワイン

小塔のある印象的なパルメのシャトーは、小さなイッサンの村の真ん中にあり、ボルドーのワイン街道のすぐ脇に堂々とたたずんでいる。
シャトーの名前はウェリントンに仕えたイギリス将官、チャールズ・パーマーに由来している。彼は1814年、自軍を率いてボルドーにやってきた。当時はシャトー・ドゥ・カスクと呼ばれていたこのブドウ園を購入し、土地の獲得やブドウ畑の耕作という壮大な計画に乗り出す。

それから20年もしないうちに、ここは「Ch.Palmer」と呼ばれるようになった。残念ながら、このシャトーの設立に心血を注いだチャールズ・パーマーは破産して財産を失った。亡くなる年の1836年には銀行による没収で、Ch.Palmerを追われたのである。

1939年以来、このシャトーは故ピーター ・A・ シシェルの家族、マーレー=ベス家とその他4人を含む企業連合が所有している。そのなかで一番有名な人物は、Ch.Palmerの日々の営みを管理するベルトラン・ブテイエである。

Ch.Palmerのワインはどの一級シャトーにも劣らない深みを持っている。1961年、1966年、1967年、1970年、1975年、1983年、1989年のヴィンテージでは、それらの多くを凌ぐ場合さえある。

Ch.Palmerは公式には第三級シャトーだが、ワインは一級と二級シャトーの間の価格で売られており、それは、ボルドーの商人や外国の輸入業者、世界中の消費者がこのワインに高い敬意を払っている証拠である。

Ch.Palmerは今も伝統的な製法でつくられているワインである。羨むばかりの成功の記録には数々の要因があげられる。

まず、1世紀以上もワインをつくり、このブドウ畑の世話をしてきたシャルドン家の尽力。

次に、Ch.Palmerでのアサンブラージュは独特で、メルロの割合が非常に高い(40%)こと。
これがポムロルのような豊かさやしなやかさ、親しみやすさ、肉付きのよさという個性を生んでいるのは間違いない。ただし、あの引き込まれそうな香りの華やかさは、典型的なマルゴーのものである。

第三に、Ch.Palmerはマセラシオンの期間、つまりブドウの果皮を果汁に浸しておく期間が最も長い(20日から28日)こと。
Ch.Palmerのほとんどのヴィンテージに見出される豊かな色や卓越したエキス分、豊富なタンニンはこのためだ。最後に、メドックのシャトーのなかでは、ワインの濾過処理に頑として反対する少数派であることも忘れてはならない。

Ch.Palmerは1961年から1977年にかけて、常にMargaux A.O.C.の最上のワインをつくってきたが、1978年に復活したCh.Margauxが今やMargauxの序列のトップに立ち、目下のところは2位に追いやられている。もっとも、Ch.Palmerの1989年ものは明らかにCh.Margauxを超えている。